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開始30分間は互いに無得点だった。
東海大は5月25日の帝京大学戦で17本のトライを浴び、0-111の大敗を喫していた。しかしこの日は同様の展開を許さなかった。
J SPORTS オンデマンド番組情報
J SPORTS実況の安井怜介アナウンサーは試合開始前、東海大の木村季由GM 兼監督の言葉として「(帝京大戦は)戦術・フィジカル以前に戦う姿勢の問題だった。戦える気持ちを持ったメンバーを選んだ」というコメントを紹介。
その言葉通り、東海大は前半からプライドを示した。
明大の展開攻撃に対して前半2分、FL張剛士、CTB鈴木浩介が激しいダブル・タックル。相手のハンドリングミスからSH吉田永遠が無人エリアへロングキック。早速エリアを挽回した。
ラインアウトのミスから自陣守備となったものの、ここで東海大PR阿部輝がハードタックル。直後にHO川村航平がボールスティール。HO川村は前半8分にも連続スティールを決め、明大の攻勢を封じた。
すると敵陣ラインアウトから効果的な連続攻撃。
18歳の東海大FLトゥポウ・ランギが力強いキャリー。FL張剛士が反転からのロングゲインでゴール前へ。SH吉田永遠がパスアウトとみせて、内側へ背面の片手パスを送る。
パワーとスキルを組み合わせた猛攻から、最後はLO朝倉晴樹がトライラインへ。ここでノーバインドのタックルを受けたかに見えたが、判定はノックフォワード。先制トライを逃した。
ここから両軍はハンドリングエラー、キックミスが続いて中盤を一進一退。明大は前半13分に自陣で初のペナルティ(ノットロール・アウェイ)、さらにハイタックルも続き、自陣に押し込まれる時間が続く。
だが東海大は競り合いのないラインアウトで獲得ミス。痛恨のプレーで得点機を逃してしまう。
相手の連続スティールなどで敵陣侵入ができなかった明大だが、転機は前半20分だ。
関東大学春季交流大会2025 Aグループ(6月1日)
【ハイライト】東海大学 vs. 明治大学
SH柴田竜成のボックスキックをWTB山村和也が猛スピードでチェイス。落下地点付近で捕まえ、ラック・アンプレイアブルで攻撃機会を呼び込む。
明大の反撃ムードが高まる。が、ここで東海大FL張剛士がしぶとくスティール。前半30分間はフィジカル勝負で引かない東海大の堅守もあり、両者無得点の締まったゲームとなった。
だが先制点を奪ったのは明大だ。
明大はSH柴田竜成がペナルティ後の相手の戻りが遅いとみるや、タップから守備ラインを突破。東海大はこの日攻守に光ったCTB鈴木浩介のタックルで独走トライは防ぐ。
しかし明大がモメンタムを活かして、そのままトライゾーンを奪取。SH柴田の攻撃的なマインドから、一瞬の隙を得点に変えた。
東海大はこの日注目のスクラムバトルでも明大と互角模様。緊張感のある8対8を繰り広げたが、課題はラインアウトだった。
前半34分には敵陣ゴール前のラインアウトで、明大がスピード感のあるリフトでカット。得点機を失うと、相手FB竹之下仁吾に大幅ゲインを許す。
ラインアウトのミスから自陣ゴール前に後退した東海大は、直後さらにノックフォワード。モメンタムを失った直後の厳しい相手投入スクラムも耐えたが、明大のFWユニットがオフロードパスを繋げてFL中川功己に2本目を奪われた。
14点ビハインドを背負った東海大だが、ファーストタックルの精度は持続。1対1のバトルで引かず、前半終了前にもスティール成功。大敗からの復調を感じさせるファイトをみせた。
後半はプレー遂行力のある明大が地力を見せつけた。
後半9分には好キャリアーのFL中川功己がラインアウトの一次攻撃で突破。ペナルティを誘発し、直後のスクラムでSH柴田竜成がキャリー選択。相手守備の移動で生まれたスペースへ好判断で走り込み、チーム3本目を奪った。
好判断を続けるSH柴田の活躍でリードを広げた明大だが、東海大のエナジーは落ちずに試合時間が60分を経過しても、スコアは21-0のまま。
主導権が行き来するなか、明大も組織ディフェンスで失点を許さなかった。
後半20分には自陣ゴール前へ後退。ここで東海大が伝統のモールでプッシュ。しかし明大FWの戻りが速い。次々にモールへ身体を差し込むと、東海大の前進がストップ。パイルアップを起こしてみせた。
スコアがようやく動いたのは、試合時間が残り約10分になってからだ。
明大はCTB大沼隼人のラインブレイクを足場として順目を攻略。途中出場の大和哲将がトライエリアに駆け込んだ。(G成功、28-0)
ここからモメンタムは明大側に振れる。
前半36分にモールで5本目。パワーとスピードを備えた途中出場の大和哲将が同40分に6本目。直後には桐蔭学園出身のルーキーSH後藤快斗が、判断が難しくなっている相手SHへのディフェンスからボール奪取。高いラグビーIQから独走トライを奪い、3連続トライ。
後半に際立ったのは明大の組織力だ。
セットピースやフィジカル勝負で圧倒的な優位を得られない中、統率された組織ディフェンスで無得点に抑え、攻めては高い遂行力で7トライ47得点。相手のミスを得点に変える判断力も光った。
終わってみればスコアは47-0。地力を示した明大が大会2連勝を飾った。
次戦は待ちに待った全勝同士の「早明戦」だ。6月8日(日)、3勝の早稲田大学と岐阜メモリアルセンター長良川競技場(岐阜)で激突する。
一方、47失点&無得点に終わったものの、復調の兆しはみせた東海大。
大会最終戦となる次戦の相手は、昨季痛恨の敗戦(26-33)を喫している東洋大学だ。今季の関東リーグ戦を占う一戦は、6月22日(日)、東海大学グラウンドで午後1時にキックオフされる。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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